【台湾総統選挙】中国のインフルエンスオペレーション・SNS認知戦についてのお話

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司さんが直近の台湾を訪れた際に感じた「台湾で広がるアメリカ懐疑論」について話されています。

台湾で急激に広がるアメリカ懐疑論「疑美論」の危険性 中国による誘導工作も

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司が5月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2024年の台湾総統選について、また、台湾有事の可能性について解説した。
(中略)

飯田)先の台湾統一地方選挙でも、大陸側からネット上でフェイクニュースがいろいろと流れたという話がありましたが。

峯村)以前から行われていますが、フェイクニュースは酷かったですね。今回の台湾出張でもう1つ気になったのが、「疑美論(ぎべいろん)」という言葉です。

飯田)疑美論。

峯村)「疑アメリカ論」ですね。

飯田)「美国」でアメリカと読むのですね。

峯村)それがどれくらい広がっているのかを見てきました。一言で言うと「アメリカはもうあまり信用できない」、「アメリカこそが両岸関係を乱しているのではないか」という「アメリカ不信論」です。思っていた以上に台湾国内で広がっていました。

峯村)アメリカに近いような方でも、「アメリカの時代は終わった」とか「アメリカの覇権は衰退している」ということを「ポロッ」と言うのです。

飯田)台湾内でも言われているのですか?

峯村)なかでも言っていますね。非常に微妙な話で、疑美論が広がれば広がるほど、ある意味、中国共産党側には有利になります。さらに広がると、「有事のときもアメリカは助けに来てくれないのではないか」という考えになりかねないのです。

飯田)しかし、アメリカ国内のニュースを日本から見ていると、台湾に対して強硬論というか、「守るよ」という強いメッセージが出ているように見えます。それでも疑うのですか?

峯村)台湾にとっては、それをあまり言ってもらうのも困ってしまうのです。例えば2022年夏に、当時のペロシ下院議長による台湾訪問がありました。これは一見、「台湾を守ってあげている」ように感じるでしょう。

飯田)そう見えました。

峯村)あのあと何が起こったかというと、台湾を包囲するように中国の大規模な軍事演習が行われました。結果として見た場合、台湾にとってマイナスになりかねない要素があるのです。これが加速してしまうと、台湾の人にすれば「アメリカにとって、我々は捨て駒ではないか」という不信感が出てくるわけです。

飯田)アメリカ国内の人気取りのために、ネタに使われているような。

峯村)利用されているのではないかと。これはアメリカに対する不信だけでなく、中国大陸側からのインフルエンスオペレーション、いわゆる「影響力工作」がかなりあります。

飯田)なるほど。

峯村)先日も「台湾積体電路製造(TSMC)を爆破してやる」とする米下院議員の発言が、中国のSNSで拡散されました。あれは別に「爆破するのだ」と言っているわけではなく、「いろいろな条件をつけるのだ」と言っているところだけを(故意に)切り取ったものです。

飯田)なるほど。

峯村)そういう報道を見て、「TSMCを爆破する? ふざけるなアメリカ!」というような憎悪が、台湾国内に広がる可能性があります。

https://news.1242.com/article/436688

中国は2020年の台湾総統選の反省から、あからさまな軍事的な脅しを使わず、情報戦によって自分たちに有利な世論を作ろうとしている、という内容です。

引用記事では特に触れられていませんが、近頃は「インフルエンスオペレーション」と言われるSNSなどのサイバー空間を通じた認知戦を重視しています。

今どきだな、と感じるのはTikTokを活用した工作。

配信者が台湾政府やアメリカ、日本を批判すると視聴者数が伸び、「投げ銭」収入も増える。
中国を褒めそやす配信をすると、これまた視聴者数が伸び、以下同文。

このようなスキームを見た台湾人の配信者も、台米日サゲ・中国アゲをやって世論が作られる、というもの。

TikTokの運営元はご存じのとおり中国企業ですので、こんな工作も思いのままだし、是正しようにも運営元が協力するはずもない。

さすが孫子を生んだ国。皮肉ではなく、頭がいいと感心してしまいます。
当然日本もやられているでしょう。日本も同様の戦略を策定し実行してほしいけど、やれてるのかなぁ。。
やれて無いんだろうなぁ。。

台湾が中国共産党に飲み込まれると、日本のシーレーンが脅かされるので心配です。

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