【社会保険料&税負担が20年で1.4倍】日本停滞の原因を知れば復活の議論ができる、というお話

社会保険料・税負担が20年で1.4倍 消費伸び悩みに波及 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
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社会保険料や直接税などの家計の負担が膨らんでいる。
総務省が5月9日発表した2022年度の家計調査によると、2人以上の勤労者世帯の非消費支出は月11万7750円で、この20年で1.4倍に増えた。
自由に使える可処分所得を圧迫し、個人消費の伸び悩みにつながっている。
同じ調査で、2人以上世帯の消費支出は29万円となり、21年度と比べて5%増加した。物価上昇の影響が大きく、インフレ率を調整した実質では1%増…

社会保険料や直接税など、家計の負担が膨らんでるというニュース。
国民負担率が47.5%に達し「江戸時代の5公5民と同じやんけ」と話題になったやつと同様の文脈です。
総務省が5/9に発表した2022年度の家計調査によると、2人以上の勤労者世帯の非消費支出は月11万7750円で、この20年で1.4倍に増えました。

非消費支出の増加が消費の足を引っ張っている

経済アナリストの森永康平さんがtwitterにアップしているグラフがわかりやすいので引用させてもらいます。

非消費支出(税金や社会保険料)がバチボコ伸びていることが視覚的にもわかります。その一方、消費支出は20年でマイナスに。
非消費支出が増加すると可処分所得が伸びず、消費の足を引っ張っていると推測できます。

消費が伸びなければ当然経済は成長しません。
それでは、非消費支出が増える原因は何でしょう?

非消費支出増加の原因は少子高齢化

非消費支出=税金や社会保険料 が上がり続ける大きな原因は少子高齢化による社会保障費の増加と税収の減少です。

少子高齢化の抜本的な解決方法は大きく2つ

  • 子供を増やす=少子化対策
  • 移民を受け入れて労働人口を増やす

移民については受け入れの是非を議論する段階なので一旦脇に置きます。
ここでは少子化対策について。

少子化対策でこれまた非消費支出が増える

少子化対策にも当然費用がかかります。

岸田政権は社会保険料を上げて財源にすることを検討中、と報道されました。
ただ、社会保険料を主に負担する現役世代は「これから子供を作る」「子育てしている」世代でもあります。
そうすると社会保険料を上げて少子化対策になるのか?という疑問も浮かびます。

そこで「国民全体で子育て支援しましょう」ってことで、子供からお年寄りまで負担する消費税を上げよう、っていう意見が出てくる。

経団連をはじめ、経営者側は増税支持が多いです。
社会保険だと労使折半ですから、労働者の負担が上がると同時に、企業側も同じだけ負担を払わなきゃいけなくなります。
そうすると企業側としては「増税の方がいい」っていう話になります。
そして最近は消費増税論が強まっている状況です。

非消費支出は下げられない

政府が「少子化対策の強化費用は社会保険料で」と発表したのは、表立って増税を言いたくないからでしょう。どう考えても社会保険料を財源にするのは無理筋ですもん。

民間からも増税論が出てくるのを待って「そんなに言うなら増税しますね。みんなの意見を吸い上げた結果だからね!」ってかたちをとりたいとしか思えない。

まあ、どっちに転んでも非消費支出は増加します。
少子化対策の強化は絶対にやらなきゃいけないものだし、費用を今の枠でやり繰りするのは無理だから。

支出が減らないなら収入を増やすしかない

という訳で、支出を減らせないなら収入を増やすしかありません。
収入が増えないと可処分所得も上がらず日本経済は上向かない、という状況です。

そこで気にかかるのは今後の賃上げ。

賃上げは2023年で3.69%と、かなり高い数字が出てますから、今年に関して言えば「まあまあ良かったね!」って話なんですけど、問題なのは「来年以降もそれだけの伸びが続くんですか?」というところ。

現在の日本の物価上昇は原材料費高騰による「コストプッシュ型インフレ」なので、物価が上がるから賃金も上がります、ってことになりにくい。
この状況下では、コストが上がってるだけなので賃上げする余力があるのは「資本力があって利益を上げてる大企業」に限られちゃう。

今年(2023年)の賃上げは、資本力のある大企業が福利厚生的に行った、という側面が強いのです。

民間企業は頑張った 政府と国会は知恵をしぼって!

需要が引っ張って物価が上がる「需要プル型インフレ」の状況を作るか、が大切なんですけど、これについては政府がやるしかないし、やるべきこと。民間企業にはそんな力はありません。

大企業中心ながら民間は賃上げを頑張りました。賃上げ継続のハードルは高いのだから、家計負担の増加をなるべく抑えて消費を盛り上げるのは政府と国会の役目。

世界的にみると日本の物価上昇は緩やかだし金融緩和も続けることができています。これはデフレ脱却のチャンスでもあるのです。

お願いだから増税や保険料アップで景気に水を差すことは止めて、国会で国債発行をもっと議論してくれ!

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